講演者:熊丸 由布治 氏(ベアーズプランニング 代表)
テーマ:危機対応5つの原則
1.経歴と活動概要
熊丸氏は、米軍の消防本部に30年以上勤務し、退職後に防災・危機管理の専門会社「ベアーズプランニング」を設立。現在は、訓練の評価・企画・実施を中心に全国で活動している。
2.主な実績紹介
- 静岡県消防学校での研修
- 千葉・岐阜での化学テロ対策実動演習
- 高知県での高齢者向けサーチアンドレスキュー訓練
- 福島県ロボットテストフィールド(水没都市想定施設)での大規模訓練(B&G財団協力、135名参加)
3.災害対応の4つの重要ポイント
- 災害の分類と指揮統制
水害・技術災害・人為災害といった多様な災害ごとに、現場での的確な指揮統制の必要性を説明。 - 危機対応の5つの原則
– モジュラー型組織編成
– 指揮限界(1:5の原則)
– 指揮権移譲の明確化
– 統合指揮(ユニファイドコマンド)
– 指揮命令系統の一元化
※ユニファイドコマンドは日本では未浸透で、今後の課題とした。 - 現場指揮者の役割と責任
– 安全の確保
– 情報共有
– 対応機関との連携
– 現場全体のマネジメント - 平時からの訓練の重要性
「知識の習得 → スキルの練習 → 能力の試用 → 評価」という訓練サイクルを確立する必要性を強調。
4.質疑応答での考察
- 質問に対し、指導時の課題として以下の3点を挙げた:
1. 訓練におけるエンターテインメント性(参加者が意欲的に取り組める工夫)
2. チームとしての対応力の育成
3. 自己の安全確保の徹底(「特攻精神」ではなく、まずは自分を守る意識)